歯周病・予防治療
歯周病
歯を支えているのは歯周組織と呼ばれ、歯肉、セメント質、歯根膜、歯槽骨から成っています。歯周病は、歯周病菌が歯周組織を侵食していく病気です。
歯垢(しこう)により炎症が起きると、歯と歯肉の間にすき間(歯周ポケット)ができてしまいます。歯磨きを怠るなどして、この歯周ポケットに歯石がたまると細菌が繁殖し炎症を引き起こします。
歯周病の多くは、明確な自覚症状がないまま進行し、重症化していきます。
放っておくと、歯肉が腫れ、痛みや出血の症状が出てきます。そのうち歯を支えている歯槽骨が溶け出し、歯がぐらぐらしてくる危険性もあります。
治療のステップ
初回 検査
骨破壊の状態や歯周ポケットの深さ、炎症の有無を調べます。
プラークコントロール
プラークを除去する重要性を患者さまに説明し、患者さまにあった歯磨きの仕方や生活習慣の改善などを指導していきます。口の中にいる歯周病菌を顕微鏡で見てもらうこともあります。
スケーリング
歯の表面や歯肉上に付着した歯垢や歯石、そのほかの沈着物をスケーラーと呼ばれる器具を使って除去します。
再検査
歯肉がどの程度改善しているか検査します。結果がよければメンテナンスに。改善されていない場合はSRP(スケーリング・ルートプレーニング)を行います。
SRP(スケーリング・ルートプレーニング)
局部麻酔を行い、歯肉の下の歯石を除去します。プラークや歯垢によって汚れたセメント質を除去して歯根の表面を滑らかにしていきます。
歯周外科手術
SRPでも改善しなければ手術が必要になります。歯肉を切開し、歯根面の汚れを徹底的に取り除き、歯肉を元に戻して縫合します。
メンテナンス
正しいブラッシング指導を行うなど、メンテナンスを行います。患者さまの症状によって、1~6カ月ごとに経過を見ていきます。
歯周病と全身の病気
歯周病菌は血液の流れによって、体のすみずみまで運ばれ、糖尿病や動脈硬化、誤嚥性肺炎、メタボリックシンドロームなど重大な全身疾患の原因のひとつになったり、重症化のリスクを高めたりすることがわかってきました。
特に糖尿病の方は健康な人より2倍以上も歯周病にかかりやすく悪化しやすいこともわかっています。歯周病を単なる歯の病気とあなどらず、しっかり治療することが大切です。
歯周病のセルフチェック!
下のチェックリストにあてはまる項目が多いほど要注意。歯周病の可能性があるので、早めにかかりつけの歯科医で検査を受けましょう。
- 歯と歯の間に食べ物が詰まりやすい
- 歯肉が赤く、押すとブヨブヨしている
- 冷たいものや甘いものがしみる
- 歯が伸びたような気がする
- 歯磨きのときに、歯肉から血が出る
- 歯の根が露出している
- 指で押すと歯が揺れる
- 朝、口の中がネバネバする
位相差顕微鏡検査
口の中には約500~700種類の細菌がひそんでいます。当院では位相差顕微鏡を使用して、口腔内細菌を実際に患者さまに見ていただけます。現在の口の中の状態を患者さま自らが確認することで、これからどういう状態になっていくかを理解していただきます。歯周病に関連する細菌は歯周ポケット内部にいるカンジダ菌とスピロヘータという細菌ですが、これが肺に入ると肺炎が引き起こされる可能性があります。
清潔に保つためには毎日の歯磨きと定期的なクリーニングが大切。細菌はゼロにはできませんが、数を減らすことが歯周病再発を防ぐことにつながります。
検査は痛みもなく、プラーク採取からモニター観察まで短時間で行うことができます。
予防治療
歯周病にかかった方は、適切なアフターケアを怠ると再発する可能性があります。年をとっても歯を残そうと思うのなら、徹底したプラークコントロールは必須。かかりつけの歯科で定期的なメンテナンスを受けるようにしましょう。
PMTC
当院では、歯科衛生士によるPMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)を行っています。
むし歯が住み着いたバイオフィルムを徹底的に取り除くことが目的です。歯石やプラークも除去するので、むし歯や歯周病予防に大変有効です。